夜間訓練を終えてみんなで遅めの夕食。
春から積み上げてきたものが
今ではしっかりとカタチとなって来て
火災シーズンを迎える前に
強いチームに整ってきた気がします。
食堂の片隅で僕も食事をとる。
隊員たちが夜間訓練のフィードバックをしながら
和気藹々と食事をとる光景に癒される。
時折隊員から投げかけられる問いに応えながら
食事を続けていると
一人の救命士が隊員たちの輪に入って来た。
大きな声で緊急消防援助隊の話題を始める。
「緊援隊のあの食事は無いわ〜。
インスタントってのは仕方がないけど
それならそれで、もっと美味しいもんを用意しろっての!」
広くはない食堂。
聞きたくもない話題が大きな声で放たれるのだから
嫌でも聞いてしまう。
「何?あのクッソ不味いレトルト。
もっと美味いやつあるだろ!
それとどこのメーカーかも分からんマッズい携行食。
カロリーメイトとか大手メーカーのやつを用意しろっての!」
同調圧力が働いたのか
救命士から発せられる大きな声の不平不満に
若い隊員たちもその話に乗っかり始める。
もう聞きたくない話題なので
失礼と感じながらも
食事をいただけるだけマシだろ。
食事中だから静かにしてくれるかな?
と会話を断ち切らせてもらった。
すると
「すみません!
食べれるだけマシですよね笑
贅沢言ってすみませんでしたー笑」
と
微塵も気にしていない様子の救命士。
もうこれ以上この場に居たら
苛立つのが分かったので
奥さんが作ってくれたお弁当を急いで頂く。
僕に会釈して間も無く
また大きな声で話を始める救命士。
「俺は食事の時間を大切にしていて
一日の中で一番リラックスしていたい時間なんだよね笑
なのにあのクッソ不味いレトルトじゃさ。
こっちは一日活動して疲れてるってのに
リラックスなんてできんじゃんね笑
ほんとあれは無いわ〜。
美味い飯に改善してもらわんとね笑」
能登半島に関しては
奥能登地震から今回の能登半島地震
そして能登半島豪雨災害と
緊急消防援助隊だけではなく
ボランティアとして
僕が何度も能登半島へ入っていることを知っている彼。
ボランティアから戻ると
彼から能登半島の現状を聞かれ
その度に復旧・復興が全く進まない現状を伝えてきた。
備えていたとしても生きるか死ぬかは時の運。
平穏な日常を過ごしていたのに
突如発生した地震で大切な人を失った人たち。
思い出の詰まった大切な家を失くした人たち。
住む場所も食べる物も無い中で必死に頑張っている人たち。
被災地の現状を写真と共に伝えて来たはずの僕に対して
彼が言い放つ心無い言葉に怒りが止まらなかった。
そんなに美味しい食事が食べたかったなら自分で準備して持っていけば良かったろ。
緊援隊派遣で10万近くの手当をいただくんだから、先行して全額食費に使えば良かったろ。
二次隊で行ったお前ならどれだけでも満足の行く準備ができたはずだ。
そもそも強制派遣では無いのだから断れば良かっただろ。
そんな奴は今後二度と被災地へは派遣させん。
お前が食事の時間を大切にしているように、俺もリラックスして過ごしたいから黙れ。
夜間訓練後の良い雰囲気を
僕は怒りに負けて
凍り付かせてしまいました。
今回の能登半島地震では
全国各地の消防士が少しずつですが
それでも確実に動き始めました。
ボランティアが正しいとは決して思いません。
ボランティアをやれとも言えません。
けれど
ボランティア活動を通じて被災地をみることは
僕たち消防吏員にとって必要な経験だと思っています。
被災地をみていれば
自然災害の脅威を目の当たりにすれば
僕たち消防吏員はもっと熱く厚くなれるはずです。
全国の消防吏員のように
岡崎の消防吏員も被災地へ向かってほしい。
そして一件でも良いから被災者さんのために活動してもらいたい。
そんな願いは今回のことで一切失せた。
昨日は大人げなく怒りをみせてしまいました。
まだまだまだまだ精進が足りない男です。
僕が敬愛する
災害ボランティア愛知人代表
赤池博美さんならどう対応しただろう。
僕も博美さんのような男になりたいな。
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