突然死!寒い季節の原因は『ヒートショック』!?
11月から2月に多く発生すると言われている
ヒートショック!
ヒートショックのことを知り
ご自身の人生や家族や友人など大切な人の人生を守れたらいいな。
今日はこのヒートショックについて話してみます。
そもそもヒートショックとは?
日本医師会さんによるとヒートショックとは
「急激な温度の変化で身体がダメージを受けること」
と言われています。
急激な温度変化は血圧の乱高下を招き
心筋梗塞や脳卒中を発症する恐れがあります。
寒さが厳しい季節における
入浴時の突然死は年間1万数千件確認されており
その多くはこの「ヒートショック」が原因だと言われています。
ヒートショックの原理
急激な温度変化でなぜ人の身体はダメージを受けるのでしょうか?
ヒートショックの原理を見てみましょう。
寒さが厳しくなってくる11月から2月。
家の中を暖かくしようとするのは当然の行動だと思います。
リビングなど自分や家族が過ごす空間を暖房器具で暖める。
夜、お風呂へ入ろうと
この暖かい空間から脱衣所という寒い空間へ移動します。
すると私たちが意識しない中でも自律神経が働き
寒い空間に熱を奪われまいとして血管が収縮し
血圧が上昇します。
そしていざ湯船に入ると
そのお湯の温かさから収縮していた血管が広がり
血圧がグッと下がります。
血管が広がり一気に下がっていた血圧ですが
寒い脱衣所へ移動することでまた血管が収縮し
血圧が上がっていきます。
つまり
寒さが厳しい季節では空間における温度差が激しくなり
その激しい温度差に身体が対応しようと
短時間で血圧を乱高下させることがヒートショックの原理だと言われています。
短時間で急激に血圧を変化させるヒートショックによって
私たちは心筋梗塞や脳卒中を発症して死に至る。
とても恐ろしいことですよね。
ヒートショックの影響を受けやすい人
高血圧・糖尿病の疾患のある方
高齢者の方
ヒートショックが起こりやすい場所
ヒートショックが起こりやすいとされている場所は
入浴時におけるお風呂場だけではなく
実は排尿排便時におけるトイレも多いとされています。
お風呂場同様に冬場のトイレは寒いですよね。
明り取りや換気用に窓がついていて外気温の影響を直接受ける環境です。
暖かい部屋から冷たいトイレへ移動し
ズボンなどの着衣を脱ぎ冷たい便座に座ることで血管は収縮し、血圧が上がります。
また排尿排便でいきむことで更に血圧が上がります。
そして排尿排便後にリラックスすることで血圧は下がる。
入浴時と同様にこのトイレでも
短時間に血圧の乱高下が起こる、、、
ヒートショック
このようにヒートショックはお風呂場やトイレといった環境で起こりやすいと言われていますが
この2箇所に限定されているわけではありません。
10℃以上の温度差がある環境では
ヒートショックは起こり得ると言われていますので
お風呂場やトイレに限らず
空間や環境間における急激な温度差に着目していただけると良いと思います。
ヒートショックを防ぐには?
では具体的にヒートショックを防ぐにはどのようにすれば良いのでしょうか。
着目すべきはやはり
急激な温度差(10℃以上の差)を緩和させることです。
- 脱衣所を暖房器具で予め暖めておく。
- お風呂にお湯を張るときに浴槽の蓋を開けておく。
- 食後は血圧が下がるので入浴は食前に入るよう心がける。
- 日没前の比較的暖かい時間帯に入浴する。
- 浴槽のお湯は40℃未満にしておく。
- 湯船に浸かる前に掛け湯又はシャワーを浴びてから入る。
- 心臓から遠い手足などを先に温めてから入る。
- 半身浴又は浸かっても胸の辺りまでにして首まで浸からない。
ヒートショックの症状
めまいや立ちくらみといった軽い症状の場合は
その場で安静にしていれば症状は回復していきます。
しかし
酷い場合だと意識消失や心臓発作などを起こすことがあり
最悪の場合
脳卒中や心筋梗塞を発症する場合があります。
マズイな!と感じた場合は
迷わず119番通報を行い救急車を呼びましょう。
貴方の大切な人は大丈夫ですか
ヒートショックのことを少しだけでも知っていただけたかと思います。
では
改めてお伺いします。
貴方にとって大切な人は誰ですか?
そして
その方の生活環境はヒートショックの影響を受けない良好な環境ですか?
赤ちゃん
お子さん
恋人
夫婦
両親
祖父母
そして自分自身。
人によって様々な大切な人がいると思います。
その大切な人たちは
急激な温度差の無い平温な環境で過ごされていますか?
私が真っ先に思い浮かべるのはやはり「両親」です。
もう70代も後半ですし
離れていても思い浮かぶのはやはり「両親」のこと。
脱衣所とお風呂場との寒暖差を和らげるには暖房器具が良い。
でも
高齢者の住まいに「熱源」を置くのは怖いものです。
ヒートショックを防ぐ目的が
予期せぬ火災を招く恐れもあるのですから。
家中を暖められるようにエアコンを設置する。
設置してあげたとしても年金暮らしの高齢者に
高額な光熱費は酷であり、きっと使わない。
離れて暮らしているから
毎日の注意喚起もできやしないし
いざという時に駆けつけることも容易ではない。
なら、いっそ同居する?
いや、それはそれで現実的ではない。
ヒートショックの危険を伝えること
寒暖差を緩やかにする術を教えたり
安全な暖房器具を贈ること。
それくらいしかできないけどやらないよりはマシだ。
軽い症状であるめまいや立ちくらみであっても
浴槽内で起こればそのまま浴槽内で溺れてしまうかもしれない。
脱衣所へ出て立ちくらみが起こり転倒したら頭部を受傷して亡くなるかもしれない。
温度差を無くす
温度差を和らげることで防げることがあるのなら
悔いが残らないようにやっておきたいものですね。
私が思う最もヒートショックと向き合っている人は
「救急救命士」
だと思っています。
今年の秋は異常に暖かかった。
暖かかった秋も愛知県では11月8日の雨から気温がグッと下がり
日中は15℃以上あっても夜になると5℃近くまで冷え込むようになりました。
毎年感じる僕の苦手な季節の到来です。
消防の仕事は24時間勤務。
そのうち私たちには6時間30分の仮眠時間が与えられています。
比較的暖かな仮眠室で布団の中で
私たちは夜間に仮眠をとります。
仮眠ですので当然に出動指令がかかれば
起こされて出動するのが仕事です。
布団の中の理想温度は33℃だそうです。
仮眠時間の私たちの布団の中の温度は測ったことがありませんが
きっと30℃くらいはあるのでしょう。
出動指令がかかると光と音で夢の中から起こされます。
布団を出て仮眠室を出る。
そして
今の時期だと外気温7℃くらいの車庫へ走り出て
防寒性が全くない冷えた感染防止衣を着て
キンキンに冷え切った救急車の中へ飛び乗る。
ざっくり30℃の環境から7℃へ
23℃という急激な温度差、、、。
傷病者宅へ向かう車内は少しずつ暖房が効き
冷え切った手足が少しずつ暖められるが
現場到着すればまた極寒の中をストレッチャーで移動する、、、。
傷病者宅でまた少しだけ温まり
また極寒の外を移動して傷病者さんを救急車内へ収容する。
傷病者さんのために暖めておいた救急車内は暖かく手足に感覚が戻ってくる。
出動指令から病院到着そして消防署へ帰るまで
ずっと救急救命士はヒートショックと向き合いながら
傷病者さんの身体と命を守ることに全力を注いでいます。
これは仕事だから当たり前のことです。
ただ救急救命士は
どれだけ寒くても疲れていても寝ていなくても
当たり前に傷病者の皆さんを救おうと日夜救急医療の最前線で頑張ってくれています。
このことだけは知っておいていただきたいのです。
ヒートショックと向き合う仲間へエールを!
救急活動における激しい環境の寒暖差はきっと埋めることはできません。
でも一つだけ欲を言わせていただけるなら
傷ついた方々の元へ日夜駆けつける
救急車や救急救命士を見かけたら道を譲ってあげてください。
心の中で良いのでエールを贈ってあげてください。
それだけできっと心の中が温まり
ヒートショックによる影響を受ける中でも
日々また熱く傷病者の元へ駆け付けて
傷病者さんの大切な身体と命を病院へと繋いでくれるでしょう。
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