令和5年2月3日金曜日
国府宮はだか祭りが3年ぶりに開催されました!
コロナ禍に入り中止されてきた天下の奇祭がようやく復活です!
今日ははだか祭りについて綴って行きます。
天下の奇祭「国府宮はだか祭り」とは
祭りの開催時期は?
祭りの開催日は、毎年旧暦正月13日。
旧暦の正月に執り行われるので、年によって開催される曜日が異なります。
つまり、土日、祝日開催なら参加者は非常に多く、平日開催であれば参加者が比較的少なくなります。
はだか祭りの主役は「神男」さん
はだか祭りの主役はやはり「神男(しんおとこ)」さん。
そして、その神男さんに触れようと集まるのが「裸男(はだかおとこ)」です。
はだか祭りの醍醐味
はだか祭りの醍醐味は
国府宮の参道から楼門を抜け、国府宮境内の奥にある儺追殿(なおいでん)へ向かう神男さんを巡り、裸男の群勢が渦を成し、神男さんへ押し寄せるところです。
寒風吹き荒ぶ中、桶隊による冷水をかけられても怯むことなく押し寄せる裸男たちの熱気が、冷水を瞬時に蒸発させ、大きな渦から湯煙が上がる光景が参拝者を湧き立たせます!
裸男とは?
裸男は
42歳と25歳の厄年の男を中心に、尾張一円から、サラシのふんどしと白足袋をつけただけの格好で集まります。
コロナ禍前の例年では、その数ざっと8,000人から10,000人!
裸男たちは、各地域の信者から託された祈念を込めた布を結びつけた「なおい笹」を捧げ、喚声を上げて威勢良く拝殿へ駆け込んで行きます。
※令和6年の儺追神事からこの儺追(なおい)笹奉納に女性が参加するようになりました。
気になる方はこちらの記事もご覧ください。
神男さんを護る桶隊と冷水
次々と拝殿へなおい笹が奉納されていき、最後に小池正明寺地区のなおい笹が奉納されると手桶隊が登場し、手桶隊は裸男たちをめがけて一斉に水をかけ始めます。
この水は、神男さんが進む道を清める意味と、威勢の良い裸男たちを怯める意味がありますが、桶隊が登場すると、待ち侘びていた裸男たちは怯むことなく、大歓声を挙げ湧き上がります!
この異様な空気感の中へ神男さんは飛び込むのですから、まさに決死の覚悟と言えます!
強く熱い鉄鉾会!
ちなみに神男さんは一人で群衆の中へ突入する訳ではありません。
そんなことをしたら儺追殿へ辿り着くどころか絶命してしまいます、、、
この神男さんを命懸けで護るのが鉄鉾会の皆さんです!!
鉄鉾会さんは、歴代の神男さんから成る強い男の会です!
神男さんを囲み、儺追殿へ納めるまで護り続けるのです!
そして、はだか祭り中に鉄鉾会で指揮を取るのが、神守隊長さん!
個人的な話になりますが僕はこの神守隊長さんの言葉に感銘を受けています。
「逃げない!怯まない!絶対に諦めない!」
あの巨大な渦の中心で耐え抜く強さは、決して真似できるものではありません!!
儺追神事を前に鉄鉾会さんたちによる参道のゴミや石拾いが行われます。
後ろ姿がまた格好いい!!
いよいよ神男さんの登場!
一方、裸男たちは、神男さんに触れることで、自分達の厄災を祓うことが出来ると信じています。
なので、神男さんが参道へ入ると一斉に神男さんへ殺到します!
そして、神男さんは裸男の群集に揉まれ触れられ、人々の厄災を一身に背負いながら儺追殿へ向かうのです!
謎の渦が発生!原因は「ダミー」!?
例年、神男さんが参道へ入った後に必ず起こる現象があります。
それは、裸男の群衆による大きな渦が2個や3個発生するのです。
もうどれが神男さんの渦か検討がつきません。
神男さん以外の渦を「ダミー」と裸男は呼んでいます。
この「ダミー」の渦はなぜ発生するかというと
例えば
丸坊主の裸男を誰か一人が勘違いして「神男だ!」と叫びます。
すると殺気立っている裸男たちは一斉に、その丸坊主の裸男を神男さんと勘違いして触ろうと押し寄せ、巨大な渦ができるのです、、、
まさに究極の集団心理
勘違いされた裸男の人が「俺は違う!!」と何度叫んで抗っても、もう遅いのです。
渦の中心にいる裸男たちが同じように「こいつはダミーだ!違う!ここじゃない!」
と叫んでも、渦の外側から押し寄せる殺気立った群衆は止まりません。
このような理由から土日、祝日など裸男の参加人数が多い年は、ダミーによる巨大な渦が2〜3個発生するのです。
一方で
今年のように裸男の参加が少ない年はどうなるかと言うと
渦が小さく動きが速いことから密集の中で転倒する危険が高まるのです、、、
巨大な渦は確かに圧力が半端ないのですが
実はその圧力よりも転倒の方が圧倒的に怖いのです、、、
今年も予想したとおり複数回裸男が転倒し、渦が崩れ、転倒した者が踏み潰されていました。
参加者が多くても危険。少なくても危険。
まさに命を懸けた祭りと言えます。
はだか祭りの予備知識
はだか祭りへの観覧や参加についての予備知識をお伝えします。
はだか祭り参加者の見分け方
ちなみに神男さんと裸男との違いを簡単に説明しますと
神男さん=全身無垢の姿(眉以外の毛を剃り、全裸の状態)
裸男=白足袋を履いたサラシのふんどし姿
なので
一生懸命に渦の中心へ辿り着いたら確認してください。
坊主頭で判断するのではなく
ふんどしをしているか、それとも全裸なのかを。
その他には
強く熱い男の集団
鉄鉾会の方々=白足袋を履いたまわし姿(力士のまわし)
桶隊=これは分かりやすいです。桶を持ってますから。
はだか祭り観覧時の注意事項
はだか祭りの神事中は、男性でも服を着た人は入れません。
木の柵の外側で観覧するしかできませんのでご注意ください。
万が一、木の柵の内側に入ろうものなら大変なことになると思います。
何があっても警察官でさえ、参道の中には入ってこれません。
今年はコロナ禍と言うこともあり「禁酒」で神事が執り行われましたが、例年の裸男は皆「飲酒」しています。
なので、至る所で殴り合いの喧嘩が発生しています、、、
殺気立っているので近づかないのが懸命です。
観覧される際は、濡れても良い服装でお越しください。
そしてカメラやスマホなどによる撮影時は桶隊からの水に注意してください。
はだか祭りの参加方法
これは人によりけりです。
通称「宿」と呼ばれるところでお世話になります。
この「宿」には個人宅、公民館などの地区集会場、旅館などがあります。
- 個人宅
友人知人経由で個人のお宅にお世話になる方法
お世話になるお礼にお酒や数千円程度のお祝い金を用意する。
親密度が高く、おもてなしがしっかりしている。 - 地区集会場
友人知人経由で地区で参加しているところにお世話になる方法
個人宅同様にお酒や祝い金を数千円程度用意する。
いろんな人が集まるので面白いが、おもてなし感はない。 - 旅館など
有名どころで言うと和陽館さんなどの旅館ホテルにお世話になる方法
13,000円程度で宿泊プランが用意されており分かりやすい。
「はだか祭りに参加したいが、稲沢に知り合いがいない」
という方は、和陽館さんへ問い合わせしてみるのが良いかと思います。
僕の参加環境
僕自身はかれこれ15年以上、裸男として参加しています。
友人の紹介で個人宅でお世話になっています。
例年ですと
11時頃に国府宮で「なおい布(ぎれ)」を購入し、拝殿で参拝する。
12時頃にお宿に到着し祝い酒と祝い金(5,000円)をお渡しして、年一で集まる友人たちを待つ。
友人が集まり一年の無事を報告し合いながらお寿司やお酒を楽しむ。
14時頃から順番にお風呂に入り身を清めて、サラシのふんどし姿になる。
地区の神社へ集まりなおい笹を担ぎ上げ
「わっしょい!わっしょい!」の掛け声を上げながら参道をジグザグに通り、楼門を抜け、拝殿へなおい笹を奉納します。
その後、桶隊が登場し、冷水を浴びて神男さんの登場を待つ!
と、こんな流れです。
ご縁あって今年は護る側で参加する
かれこれ20年お神輿を担いでいる僕ですが
このお神輿の繋がりで良縁が結ばれ、今年は裸男ではなく、神男さんを護る側として参加させていただきました!
強く熱い鉄鉾会の皆さんと共に神男さんを護るという役割です。
このお話を受けた時
正直、怖かったです、、、
裸男として参加してきただけに、護る側の方々の凄さを目の当たりにしてきたのですから。
なので
前日まで本当に緊張していました笑
貴重な経験
どんな役割を果たすのか
説明もいただけないまま、はだか祭り当日を迎えました。
緊張のままいつものとおりなおい布を購入し、拝殿でお参りをする。
その足で待ち合わせ場所の儺追殿へ入る。
和気藹々と笑顔飛び交う憧れの鉄鉾会の皆さんを前にして、これまた緊張!
祝い酒を納めさせていただきご挨拶。
儺追殿の中は凛とした空気が漂っており、身が清められました。
神男さんに厄を祓っていただき、この方を命懸けでお護りするのだと気合が入る。
儺追殿の中ではさまざまな神事を拝観させていただきました。
鉄鉾会さんから順にお風呂に入り身を清めて、僕も初のまわし姿に!
神男さんは神守隊長と鉄鉾会の方と参道へ向かう。
僕たちも鉄鉾会会長の掛け声と共に参道へ向かいました!
参道では桶隊が勢いよく水を裸男に浴びせ続ける。
はだか祭りが戻ってきた実感をここで感じました!
間もなくして神男さんが入ってきた!
僕たちも渦の中心に入り神男さんを護りながら儺追殿へ進むよう渦を誘う。
今年の裸男の参加者数は、1,700人超だったそうです。
予想どおり渦の動きは速くて、何人も転倒しては踏まれて行きました。
今年は本当にあっという間の「もみあい」でした!
無事に神男さんを儺追殿へ納めることができて本当に嬉しく思うと共に、護る側で参加させていただけて光栄でした!
今年のはだか祭りで一番の感動
激しく動く渦の中心から
今年はなぜか「ピッピ!ピッピ!ピッピ!」と笛の音が聴こえてきました。
もみあいの最中はそんなに気にも留めなかったのですが
と言うより必死なので「なぜ笛の音が?」程度にしか留められませんでした。
神事が全て終わりいざ家路に向かおうとした際に伝えられた笛の事実。
「パパさん神守隊長の笛の音聴こえましたか?」
と今回のご縁を結んでくださった方からの一言。
「亡くなった私の母のために神守隊長が笛を吹いてくださっていたのです。」
その言葉を聞いて鳥肌が止まりませんでした。
胸が熱くなり泣いてしまうほどに。
ご縁を繋いでくださった方のお母さんは東京は浅草の江戸っ子。
幼き頃から三社神輿など江戸前神輿を担いで育った家系。
そのお母さんへ届くように渦の中心で、笛を吹き続けてくれていたのです。
神男さんを護るのでさえ至極大変な所業なわけです。
それなのに亡くなったお母さんに向けて笛を吹き続けるなんて、本当に強く熱い隊長さんです!!!
今回初めて、護る側を務めさせていただき
本当に多くのことを感じ学ばせていただきました。
来年もどうか護る側でお務めさせていただけますように。
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