塗料が染み込んだ布を放置したら夜になって火事に?自然発火に注意!

火消し24時

塗料を拭き取った布などが自然発火して火災を引き起こす!?

ペンキを使ったDIYで火災?

火の気も無いのに寝ている間に火事?

皆さんは自然発火ってご存知ですか?

今日はこの自然発火について

お話ししたいと思います。

 

そもそも自然発火って何?

自然発火とは

  • 火源を与えなくても
  • 常温下の空気中で物質が自然発熱
  • その熱が長期間蓄積されて
  • やがて発火点に達し燃焼を起こすことをいいます。

 

自然発火の原因は大きく3つに分けられます。

  1. 酸化熱
  2. 分解熱
  3. 吸着熱

このうちの「酸化熱」についてお話していきたいと思います。

 

酸化による発熱(酸化熱)には

  • 乾性油 (アマニ油、キリ油)
  • 油を含んだウエス(布切れ)
  • 石炭
  • ゴム粉末
  • 天ぷらのあげかす
  • 原綿

などがありますが

今回は油を含んだウエス(布切れ)の自然発火に着目します。

 

なぜ油を含んだウエスが自然発火するのか

ここでいうとは

塗料、ワックス、揚げ物用の油などを指します。

 

塗料やワックスなどの油類は

酸化反応することで発熱します。

その主な条件は

「酸素」「温度」「密度」の3つです。

 

油類は酸素に触れることで酸化

酸化熱を発生させます。

その熱エネルギーは

温度が高い状態でさらに増幅します。

そして

密度が高ければ高いほど熱がこもり

発火につながるのです。

 

 

塗料やワックスをウエスで拭き取ると

油分が繊維に染み込み

空気と触れる面積が増加します。

天ぷら油も新聞紙やティッシュなどへ染み込ませることで

空気と触れる面積が増加します。

 

このように空気と触れ合い易くなった状態のものを

山積みにしたり

ゴミ箱へまとめて捨てたり

ビニール袋へ集めて保管することで

密度が高くなり

熱がこもり易い環境が整って

発火する場合があります。

 

実際の火災事例

事例)塗料
外壁を塗装した後
塗料を拭き取ったウエスをそのままゴミ袋に入れて置いていたら自然発火した。
発見が早かったため、壁の一部焼損で済んだ。

事例)塗料
塗料の拭き取りに使用したタオルを袋に入れて
それを段ボール箱に入れて台所に置いていたところ
約24時間後に出火し、台所を焼損した。

例)ワックス
モップを用いて床にワックス掛けをした後
雑巾等で拭き取り
モップと雑巾などをポリ袋に入れて置いていたところポリ袋から出火した。

例)揚げ物用油
調理後の天かすを金ざるに残したまま就寝
深夜3時頃に出火し台所を焼損した。

 

<特徴>
酸化による発熱は進行が緩やかで、最初は緩慢な発熱反応を続けるが、数時間から数日、場合によっては数週間に渡って発熱が進行し、蓄熱により反応が加速される。
つまり、油を付着させたウエスなどをゴミ箱に長時間放置させておくと、忘れた頃に自然発火が起こり、火災に至る危険があるということです。
注意すべきは
気温や室温下がる冬の季節でも、自然発火による火災は発生しています。

引用元:nite燃焼実験

 

自然発火の研究と注意喚起

塗料用油が浸みた繊維類の自然発火については

1960年関西ペイント株式会社の西岡博治

自然発火による火災に着目し

これを未然に防ぐために実験を行い

その結果を研究発表会の中で報告しています。

この報告書の結びの中で

「発火条件を実験によって把握され、工場だけに限らず家庭にも関係の深い油の火災防止に努められることを提議する」と謳い

今から60年以上も前から

繊維に染みた油による自然発火の危険性

を研究し世の中へ説いてくれていました。

 

自然発火を防ぐには

ここまで来ると

揚げ物油塗料も危険なのではないか?

と不安になる方も見えるかも知れません。

 

安心してください。

揚げた後の油が必ず自然発火するわけではありません

 

一般の家庭で

揚げ物を終えた後の揚げかすを放置したことで火災に繋がった事例はありません。

天ぷら屋さんなど飲食業を営むお店の厨房において

調理で出た大量の天かすや揚げかすを

ザルなどに上げて放置したことで自然発火が起こるのです。

つまり

一般家庭の調理で出るような少量の揚げかすでは

空気に触れて酸化熱が出ても

その熱が蓄積される前に冷めてしまうのです。

ですので

安心して美味しいごはんを作ってください(^-^)v

 

そして

全ての塗料が自然発火するわけではなく

全ての塗料が危険なわけでもありません

 

自然発火を引き起こしやすい塗料は限定的です。

油脂を基本成分として酸化乾燥で硬化し塗膜になる

アルキッド樹脂系塗料です。

 

アルキッド樹脂系塗料と言われても

なんのことやら分からないですよね(^-^;

そんな時は

塗料缶などに表記されている部分を確認してください。

 

引用元:日本ペイント

 

 

この自然発火を引き起こしやすい塗料であっても

ウエスや紙などに染み込ませて山積みにしたり

ゴミ箱などに集めて放置していなければ自然発火しません

また塗料は

塗膜(塗料が固まって膜となった状態)では熱がこもることはなく

自然発火は起こりません

 

油を含むものが全て自然発火するわけではない。

ということです。

覚えておいていただきたいのは

油を含むものが空気(酸素)と触れ合い過ぎると熱を発すること
熱を発するもの同士を一箇所に集めると熱が蓄積されていくこと
蓄熱が加速度的に進むと自然と発火する危険があること

 

 

処分方法はどうするの?

では
実際に天かすや塗料を捨てる際はどうすればいいのか?
疑問になりますよね。
天かすや揚げかすの場合
熱が無くなるまでしっかりと冷やすことです。
捨てる前には天かすに十分なをかけておくことです。
ビニール袋などに入れて水を一緒に入れるのが良いと思います。
塗料の場合も同様です。
塗料を染み込ませたウエスや紙屑などは自然発火する危険があるので
バケツやビニール袋の中へ集めたまま放置することは絶対にしてはいけません!
熱が上がらないように十分な水に浸して捨ててください。

自然発火の記事を書いた理由

なぜ僕が今回この自然発火の記事を書いたかというと
塗料を拭き取ったウエスなどをゴミ箱に捨てたままにしたことで
そこからが生まれ

大切な建物が燃えてしまったという火災が起きたからです。

 

炎と戦う者の一人として

僕がいつも言わせていただいているのは

 

放火犯を除いて
誰ひとりとして
望んで火災を生んでいるわけではない。
ということです。

 

 

火災は全て
何気ない平穏な日常から生まれています
平穏な日常の
ちょっとした出来事から
小さなが生まれ
その空間にある可燃物を飲み込み膨れ上がり

手のつけられない凶暴な炎へと成長していきます。

 

 

 

いつも優しさの中
子どもたちへ絵を描く楽しさを伝えてくれていた人
何気なく捨てた
塗料の染み込んだウエス

それが夜遅くに自然発火を起こし火災になる。

 

そこには悪意は決してなく
ずっとずっと優しさしかないんですよね。

 

 

でも
一度大きな火事があると

人はその責任を誰かに押し付けたくなる。

 

そして

防ぎようのなかった出来事であっても

特定の人を責めるようになる。

 

胸が痛いんですよね。

もうこれ以上こんな悲しい出来事が続かないように。

 

 

そんな願いを込めてこの記事を書きました。

 

もうすぐ4月
暖かな春が来て
寒さの中で我慢していた活動も少しずつですが始まって行くでしょう。
僕なんかはDIYが趣味なので

それこそ塗料を使って物を作ったりしています。

 

皆さんも
もし塗料を使って何か物を作る機会があったら

頭の片隅に置いててください。

塗料の染み込んだウエスは水に浸して捨てなきゃなって(^-^)

 

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24時間365日家を守り続けてくれる

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この消火器は粉末タイプではないので
放射した後も付近などで拭き取れば綺麗になります!

 

ご自分のためにも

大切な家族や離れて暮らす親に

 

 

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