借りたご恩は還す。信じること守ること

人を救う仕事

出勤すると

朝から上層部がざわついてる。

 

こりゃ何かあったな」と察しながらも

普段通りに事務を進める。

 

噂話が大好きな職場にあって

悪い噂は格好のエサであり

ひとたび撒かれるとあっという間に拡がってしまう。

 

若い職員が何か問題を起こした。

 

聴き耳を立てずとも

個人のプライバシー管理は緩く

上層部が大きな声で話すものだから否が応でも内容が聞こえて来る。

 

どうやら僕がかつて一緒に仕事した後輩に何かが起こったようだった

 

日朝点検や作業を終えた隊員が事務所へ戻ってくる、、、

上層部の話は熱冷めることなく盛り上がってる、、、

 

戻ってくる隊員たちへ別の作業を与えるなどして

不用意にエサが周りに拡散するのをそっと抑える。

 

聞くと

かつての仲間が起こした内容は決して犯罪絡みではない。

職場への信用失落行為などでもなかった。

 

であるならば

そっと鎮火へと導くのか筋だ。

 

でも

小出しで入ってくる根拠もない情報に臆測が臆測を呼び

事実が歪んで拡がっていく。

本当に恐ろしい事態だ。

 

本人しか知り得ない事実

第三者によって歪められ

加速度的に拡がっていくのだから

本人の心中たるや。

 

僕が知る限り彼は
誠実で、厚くて、何事にも愚直に取り組む男。

この職場では非常に稀な頼もしい存在だ。

 

そんな彼がなぜこうなったのか。

事実は彼しか知り得ないけれど

 

その誠実さゆえに誰にも相談できず

他人を頼らず自分でどうにかしようとする強さがこの結果を招いたんだと察する。

 

とはいえ
これも僕の「臆測」なのですがね。

彼が壊されてしまう前に
彼が自分自身を壊してしまう前に手を打つ。

 

スマホを替えたらしくLINEは打てないので

職場のメッセージを使って想いを伝えておく。

 

  • 僕が観て来た彼の職務に対する姿勢
  • 仲間と共に精進して来た時間
  • 災害現場で傷ついた市民を救って来た事実

それらは全て変わらない事実であって
それらを自分自身で否定してはならないこと。

 

誰が何を言おうとも

何を思おうとも

僕はひたすらに信じることを伝える。

 

400人近い職員がどう噂しようとも

この職場で一番熱苦しい男が信じるのだから文句あるかってね。

そして

今はしんどいけれど

絶対に仕事を辞めてはならないことを伝えた。

 


かっこいいことを言ってますけど

これは僕の恩返しでもある。

 

僕が20代後半の頃

授かり婚で結婚を控えて浮かれていた時期に

僕は姿を見せぬ悪意ある何者か地獄のどん底へ堕とされたときがあった。

 

幸せの絶頂期にどん底へ堕とされ

当時の婚約者にそんなこと話せるわけもなく、、、

職場へ出勤すれば
上司先輩からは
「最低の男だ」

「信用してたのに酷いことをする奴だ」

「怖い怖いテロリストが来たぞ」
などと直接僕へ言ってくる人もいれば

何も言わずに偏見の目で距離を置く人たち

弁解の余地もなく拡がり膨れ上がる僕の悪い噂

 

当時唯一信頼できた同期に相談したら

その内容さえその同期に面白おかしく変換されて拡散された、、、

 

幸せの絶頂期に笑えない毎日

何も悪いことをしていないのに
仕事辞めなきゃならないのかなって

噂話が聞こえぬように

冷たい視線に刺されないように

ひたすら毎日下ばかり向いてた。

 

そんなとき

ある先輩から電話がかかって来た。

「おい!テロリスト笑

良くもまああんな強大な悪い奴を敵に回したなバーカ笑

悪い奴の悪行にビビってんの?

悪い奴に怯えて従ってる奴らにビビってんのか?

たかが300人ちょいの職員がお前のこと嫌ったとしても

俺はお前を信じてる。

それでなんか文句あるか笑?

 

我慢してたもんが一気に溢れ出したのを今でも覚えています。

とめどなく涙が溢れて

安心が身体を心を満たすのを感じました。

 

あれから15年経つのかな。

当時の先輩に救われたことをそっくりそのまま恩返し。

 

当時も救われたけど
今回も先輩のおかげで救われちゃったな。

ありがとうございました。

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